ありえないほどの強風に見舞われ、打ち上げが危ぶまれた2年ぶりのカウントダウン花火。
悪天候は2022年のラスベガスを予見したものか、それともただの天気なのか?2022年を振り返ってみました。
写真は9月に新しくなったショーガールの看板。以前のショーガールより身長が2倍高く。設置場所はストラトホテル(旧名称ストラトスフィアホテル)のすぐ北。
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ニュース
ミード湖の水が危機
日本でも報じられているようにミード湖の水位低下が止まりません。
ミード湖はラスベガスから東にクルマで1時間くらいのところに広がる、フーバーダムがコロラド川をせき止めたことでできた人口湖。ラスベガスからグランドキャニオンに行くときに通過します。
NASA satellite imagery of Lake Mead in 2000 compared to 2022 pic.twitter.com/CcWXFZY0ge
— Space Explorer Mike (@MichaelGalanin) December 20, 2022
水量は突然減少したわけではありません。20年にわたる干ばつの影響やコロラド川流域で水の使用量が増えたことから、じわじわと減っていました。
今年大きなニュースになったのは5月に樽に入った遺体が見つかったため。ミード湖に沈められたこの遺体は、みんなが思っていたとおり、マフィアが仕切っていた時代に殺害されたことが鑑定でわかりました。
他にもかつて湖底だったところからボートなど様々なものを発見。露出した岩盤からは1200万年前に降り注いだ火山灰なども見つかっています。
Only about 50% of Southern Nevadans follow their seasonal watering schedule, depleting billions of gallons of water from our limited supply at Lake Mead each year.
— Southern Nevada Water Authority (@SNWA_H2O) November 29, 2022
Change your watering clock today to ensure you have water for a future tomorrow: https://t.co/KhgEke0dY6. pic.twitter.com/IJRIOZfWzm
湖の水は今この瞬間も減り続けています。今年9月時点の貯水量は満水時の27%。この夏は例年に比べ雨がたくさん降り、50センチ近く水位が上がったとか。減少をくい止めるほどではないですがわずかな増加でもありがたいことです。
ミード湖はラスベガスで使う水の90%を供給しています。こんなに水量危機が報じられても一般家庭ではあまり節水を意識していません。芝生の水やりの回数が決められているくらい(↑のTwitter)。芝生の水やりは違反すると最高5000ドルの罰金が科せられます。
ベラージオの秋の植物園は水をたっぷり使ってしまう
水位低下がニュースになる中、9月に公開されたベラージオホテル植物園の展示は水をたっぷり使ったものでした。
展示準備には何か月もかかるようなので、ミード湖問題とかぶったのは偶然だと思いますが。
ベラージオによると、植物園で使う水はホテル地下にある雨水やリサイクル水を貯めた貯水槽からのもの。展示で使用した水も再びリサイクルに。ラスベガス水道局の飲料用水は使っていないそうです。
ホテルの運営会社・名称変更
2021年に発表されたホテルの売却が今年完了。運営する企業が変わったホテルがいくつかありります。
運営会社が変わった
ミラージュがハードロックの運営に
MGMリゾートインターナショナルは2021年末、ミラージュホテルを10億7500万ドルでハードロックインターナショナルに売却すると発表。
1年を経た12月19日、MGMが同ホテルの売却を完了し、この日午前6時に運営がハードロックに移りました。
運営がハードロックになっても変わったのはカジノのリワードプログラムくらいで、現時点で大きな変更はありません。
ミラージュはホテルのアップグレードと名称変更を予定していますが、詳細は2023年末に発表するとのこと。火山の噴火活動が終わるのは2024年以降になりそうです。
ハードロックインターナショナルはセミノール族というアメリカ先住民が所有するカジノ運営会社。
”トライバルカジノ”という先住民が運営するカジノがラスベガスに進出するのは、昨年開業したバージンホテル、今年春に再オープンしたパームスホテルにつぎ3つめ。ストリップ地区では初めて。
シークレットガーデン&ドルフィンハビタットが閉鎖
ミラージュホテルのイルカと希少動物を集めた「シークレットガーデン&ドルフィンハビタット」が閉鎖されることが11月22日、明らかになりました。
飼育しているイルカが3頭相次ぎ死亡したことを受け9月下旬から休業していました。残っている動物は他の施設に移されます。
コスモポリタンはMGMリゾーツ傘下に
2021年9月に発表されたコスモポリタンホテルの売却。MGMリゾーツはホテルの運営をブラックストーン社から16億5000万ドルで購入。
5月に取り引きが完了し、コスモポリタンは巨大カジノ系列の仲間入りをしました。
運営が変わる直前にはブラックストーンが感謝を示すため、全従業員5400人にひとり5000ドルのサプライズボーナスを支給したそうです。
現時点ではMGMとの連携はほとんどなく、ホテルにいても全くMGM感はなし。カジノリワードプログラムもまだホテル独自のものです。
パームスが再オープン
ラスベガスロックダウンから2年1か月を経た4月27日、パームスホテルがようやく再オープンしました。
パームスはステーションカジノ系列でしたが、閉鎖中の2021年5月にトライバルカジノのサンマニュエルゲーミング社に6億5000万ドルで売却されています。
ホテルは2018年に6億2000万ドルをかけ改装工事を終えたばかり。まだ新しい館内の施設はステーションホテル時代と変わっていません。たくさん展示していた人気現代アーティストの作品が取り払われていたくらいです。
トロピカーナをバリーズが買収
バリーズといってもベラージオの向かいに建つバリーズホテルのことではありません。
ラスベガスのバリーズホテルとは全く関連のない、ロードアイランド州を拠点とするバリーズ社が3億800万ドルでトロピカーナホテルの運営を買収しました。
不動産は引き続きGaming and Leisure Propertiesが所有し、年間1050万ドルで50年間リースします。
バリーズ社は米国内10州に17のカジノホテルを所有し、トロピカーナ以外のホテル名称はBally’s。
もしバリーズという名前のホテルを見たらバリーズ社の所有物件です。ラスベガスにはもうバリーズはありません(下記参照)。
ホテル名称が変わった
バリーズが老舗ホテルの名称に
こちらはベラージオの向かいに建つバリーズホテルの話。
今年はじめからブランド再構築をすすめていたバリーズホテルは12月15日、「ホースシュー・ラスベガス」にホテル名称を改めました。
名前は変わっても系列はシーザーズエンターテイメントのままです。
”ホースシュー”は1951年にダウンタウンに開業した”ビニオンズ・ホースシュー”に由来。ビニオンズでは1970年からポーカー大会WSOPがおこなわれていました。
ホースシュー・ラスベガスでは今年からWSOPを開催しています。
F1ラスベガスGP開催が発表
F1は3月、ラスベガスグランプリを2023年11月におこなうと発表しました。ラスベガスブルバードと周辺道路がコースとなり、決勝は夜景の中を走ります。
GP1年前となる11月5日、ローンチイベントを開催し大通りをF1カーがデモ走行。歩道を埋めつくした4万3000人を魅了しました。
現在は来年11月のレースに向けパドック建設が進行中。また、コースとなる道路の改良工事を予定しています。
取れすぎないことでイライラがつのるチケットは、来年春にあと2回発売するとか。
事件
銃声と間違え混乱
大きな音を銃声と間違え、居合わせた人々が混乱を起こす騒ぎが立て続けに起こりました。
MGMで投石
最初は5月。野外音楽フェス会場で発砲音を聞いたという虚偽の報告があり、観客が会場の外に逃げ出すなど一時混乱しました。
7月16日夜、MGMグランドの正面玄関ドアに投石があり、大きな音が響いたため近くにいた人が騒然とする事件が発生。
この騒ぎは「MGMで発砲があった」という間違った情報となり周囲のホテルに伝わり、走って逃げる人で付近一帯がカオスな状態に。
投石の犯人は確保されました。
この4日後にはファッションショーモールでも思い違い騒ぎが起きています。
空港大混乱
8月14日早朝に空港ターミナル1で発生した勘違いは、空港を一日中大混乱に陥れました。
False reports of an active shooter caused panic at a Las Vegas airport, leading to 400+ flights being delayed and approx 55 being canceled — here’s what happened pic.twitter.com/OQUGX1ukMy
— NowThis (@nowthisnews) August 16, 2022
ゴミ箱が倒れたような大きな音を銃声と間違えた乗客がパニックになり、係員も逃げたセキュリティチェックを走って通過。警察により安全が確認された後、全員がチェックを受け直しになりました。
混乱の原因をつくった音をたてた男は逮捕されています。
この騒ぎは搭乗ゲートに向かう乗客がパーキングまで伸びる列をつくっただけでなく、ハリーリードを発着するフライトにも影響。55便以上がキャンセルし400便以上が遅延しました。
フリーモントストリートでは発砲事件
フリーモントストリートでは6月と7月に発砲事件が発生。
けんかが発端となった6月の事件では男性がひとり死亡、巻き添えとなったひとりが負傷。16歳の少年が逮捕されました。7月の事件ではひとり負傷しています。
事件が立て続けに起きたことからフリーモントストリートでは安全対策を強化。週末の夜間は21歳未満の入場禁止、金属探知機を設置などの対策を講じました。
セキュリティチェックは午後8時開始としていたのに、午後10時半を過ぎても始まらないなど、結構ゆるめな感じです。
ストリップ地区で通り魔事件
10月6日正午前、ウィンホテル前で起きた通り魔事件では女性2人が死亡、6人が負傷。死亡したうちひとりはショーガールのコスプレをして写真を撮る人でした。
Video shows the suspect in a mass stabbing on the Las Vegas Strip running away while being chased by bystanders. Police said he is a Hispanic man in his early 30s who does not seem to be a local, and are still trying to identify him. #8NNhttps://t.co/KuP3WiXUzH pic.twitter.com/TwuUMoUUoZ
— 8 News Now (@8NewsNow) October 6, 2022
犯人の男はカリフォルニアから2日前にラスベガスに引っ越してきたばかりで、ウィンあたりで仕事を探していたとのこと。
ショーガールの女性たちと話しているあいだに”笑いものにされた”と感じ、女性を刺し逃走。逃げるあいだにも歩行者を次々と切りつけました。
場所がら目撃者が多く、通報を受け駆けつけた警察とベネチアン系列のセキュリティスタッフに取り押さえられました。
事件直後はストリップ地区をパトロールする警官の数が増えましたが、最近はまた事件前の状況に戻っています。
新型コロナ
もうマスクをすることもなく新型コロナを意識することはほとんどありません。すっかり忘れていましたが、今年はじめはまだ公共の屋内ではマスク着用が義務でした。
2月10日にマスク着用義務を撤廃。2020年3月にネバダ州に出された新型コロナウィルス緊急事態宣言は5月20日に解除されました。
しかし感染者が夏以降再び増加。南ネバダ保健局は6月、ラスベガスと周辺エリアの公共の屋内ではマスク着用を強く推奨すると勧告。
現在も引き続き推奨されていますが、マスクをしている人は少数派です。
来たもの・去ったもの
来たもの
新しいホテルが開業
スターシェフ、トッド・イングリッシュの名前を冠した「イングリッシュホテル」が、最も注目を集めるエリア、ダウンタウン地区アートディストリクトに3月2日オープンしました。
客室数74。カジノ無し。
ホテルはシェフが手掛けたわけではなさそう。レストランは出しています。
来そうで来なかったもの
クリスタル隣のショッピングモール
クリスタルモールに隣接する新しいショッピグモール「63ラスベガス」。今秋オープン予定でしたがまだ建物内は暗いままです。
でも屋上の大きなスクリーンでは広告が流れ、建物は完成しているように見えます。
モールにはステーキハウスとマジックミュージアムが出店を決めましたが、他のテナントや開業日は発表されていません。
MLBオークランドアスレチックス
2021年春から伝えられるメジャーリーグ、オークランドアスレチックスの新球場建設問題。
アスレチックスが使用しているオークランドコロシアムとの契約が2024年までと迫るなか、球団はオークランド市と新球場建設について交渉中。まとまらなければラスベガスに移転します。
今秋には球団と市は合意に達するとみられていましたが、結論は出ませんでした。ということは、ラスベガスに来る可能性がまだ残されているということ。
ラスベガスに移転なら3万5000人収容のドーム球場を建設する予定。トロピカーナホテルのサイトか、サハラホテル向かいの野外イベント会場”フェスティバルグランド”のどちらかに建てるようです。
去ったもの
トラベロッジとハワイアンマーケットがなくなった
シティーセンターの向かい側で2つの新規プロジェクトが発表。ここで営業していた多くの小規模店舗などが閉鎖されました。
ハーモン通りすぐ南には客室数2400、43階建てのホテルをゴールデンナゲットのオーナーが建設。
建設開始時期は発表されていないものの、建設用地にあるトラベロッジや店舗は11月に解体されました。
上記のホテル南隣り、地味に人気を誇ったハワイアンマーケットプレイスのあたりに、ニューヨークの投資会社が3階建てのショッピングモールを建てる予定。
ハワイアンマーケットプレイスと周辺の店舗は8月はじめまでに営業を終えています。建設開始時期は未定。
エンターテイメント
新しいショーはじまる
コロナのため2021年に終了した「ル・レーブ」(ウィンホテル)とシルク・ドゥ・ソレイユ「ズーマニティ」(ニューヨークニューヨークホテル)。
主のいなくなった2つの劇場にショーが帰ってきました。
5月27日に幕を上げたのは「マッドアップル」(ニューヨークニューヨーク)。
シルクのショーですが、他のシルクとは一味違う大人感あふれるショー。音楽とアクロバットとスタンダップコメディが流れるように進行していきます。
ウィンでは11月7日に「Awakening」がデビュー。
ル・レーブ時代のステージ下の深さを活かしダイナミックに動くステージ、そして照明が美しいショーです。
コンサート
アデルのレジデンシー公演
アデルは1月21日に初日を迎えるレジデンシー公演(シーザーズパレスホテル)を、前日午後に全日程延期することをSNSで発表。
延期はスタッフの半数がコロナにかかったためと説明。しかし、ステージセットが気にいらなかったから、というのが理由のひとつのようです。
すでにラスベガス入りしていたファンのために、アデルは劇場ギフトショップに現れファンサービスするという一幕も。
それから10か月後の11月18日、レジデンシー公演が無事オープン。ステージセットは前回のものから変更されたそうです。
BTSをラスベガスが歓迎
BTSが4月8日から16日までの週末4日間、アレジアントスタジアムにてコンサートを開催。コンサートはMGMグランドアリーナにもライブ配信されました。
ラスベガスはBTSとアーミーを大々的に歓迎。エッフェル塔や観覧車からホテルのマーキーまでBTSカラーであるパープルに染め、ベラージオの噴水ショーにBTSの曲が登場。
このコンサートは動員数20万人、チケットを3600万ドル売り上げ、2022年のアーティスト別会場別によるチケット売り上げで世界第3位に輝いています。
アーミーが写真映えスポットを清掃
ラスベガス滞在中にメンバーが写真映えスポット「セブンマジックマウンテン」を訪れたことから、ファンがサイトの掃除をおこなったり寄付を申し出ていることが伝えられました。
サイトは落書きとゴミがあふれ清掃が追いつかない状態になり、8月に塗り替え作業を実施しています。
スポーツ
イベントを開催
アメフトNFLとアイスホッケーNHLがオールスターゲームを2月第1週に開催しました。
NFLは2023年のオールスターもラスベガスでおこないます。
また、NFLはドラフト会議を4月28日から30日まで開催。
巨大観覧車の東側にできた”シーザーズフォーラム”とベラージオ湖上のステージが会場となったイベントには、30万人が来場したとみられています。
指名選手が発表されるシーザーズフォーラム前には各チームのファンが詰めかけ、指名が発表されるごとに歓声とブーイングがあがりました。
地元チームの2022シーズンは
ラスベガスエーシーズ
女子バスケWNBAの「ラスベガスエーシーズ」がリーグ優勝しました!
ラスベガスに本拠地を置くメジャーリーグ所属チームが優勝を飾るのは初めて。
エーシーズは2018年にテキサス州からラスベガスに移転。2019年から4シーズン連続でプレーオフに進出しています。
ラスベガスレイダース
2021レギュラーシーズン最終戦にプレーオフ進出が決定。まさかのプレーオフ!6年ぶりのプレーオフ!
しかし1月15日におこなわれた1回戦でシンシナティ・ベンガルズに惜敗。負けたとはいえ2022シーズンも”やってくれるに違いない”と期待が膨らみました。
先シーズン途中でヘッドコーチが辞任したため新しい監督を迎えた2022シーズン。前半大勝してても後半に追いつかれ負けてしまうという不甲斐ないゲームばかりでした。
あと2試合残ってますがプレーオフ進出はほぼ絶望的な状況です。
ベガスゴールデンナイツ
2021年末の時点でカンファレンス1位でしたが、その後調子を落としまくったナイツ。
2021-2022シーズンはチーム創立5年目にして初めてプレーオフ進出を逃しました。
ポストシーズンに2020年1月から指揮を執った監督を更迭。新しい監督のもとで迎えた今シーズンは絶好調ではじまったものの、11月以降負けが目立つように。
シーズン後半は強いナイツを取り戻せ!
日本関連
YOSHIKIがゲスト出演
10月12日から16日までベネチアンシアターでおこなわれたサラ・ブライトマンの公演に、YOSHIKIがスペシャルゲストとして出演。公演には多くの日本人がかけつけました。
サラ・ブライトマンはベラージオの噴水ショーになっている「Time to Say Goodbye」を歌っています。
ダイソーが2店舗をオープン
昨年末に待望の1号店をオープンしたダイソー。今年は2店が開きました。
2号店は8月20日、レッドロックホテルのすぐ南にあるショッピングモール”ダウンタウンサマリン”に開業。1号店同様、ドアオープン前に数百人が列をつくったそうです。
3号店は12月17日にラスベガス近郊の街にオープンしました。
1号店ができてしばらくの間はかなり混んでいましたが、さすがに今ではすきすき。レジ待ちもほとんどありません。
商品は値上げしました。1号店オープン時には100円のものは1.5ドルだったのに、いつの間にか1.75ドルに。インフレはダイソーも容赦なく直撃してます。
ビアードパパがオープン
シュークリームのビアードパパが12月3日、ダイソー1号店のやや南にオープンしました。
8年前にリンクプロムナードが開業した当時、アジア系のフードコートが出店していて、その中のひとつの店でビアードパパのシュークリームを売っていました。
フードコートはいつの間にか撤退。ビアードパパも買えなくなってしまいました。
久々のビアードパパですが待たずに購入することができます。
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