地下トンネルを走るテスラ~新交通システム「ベガスループ」について

ベガスループ

ラスベガスに”専用地下トンネルを専用車両が通り人々を運ぶ”という新しい交通システム「Vegas Loopベガスループ)」が誕生しました。

イーロン・マスク氏がつくった新交通システムは、ラスベガスコンベンションセンター地下に建設し、展示ホール間を走るシャトルサービスとして利用されています。

将来はホテル街から空港まで拡大し、ダウンタウンと空港を8分で結ぶようになるとか。

一度は乗ってみたいところですが、2023年2月時点でループの運行はコンベンション開催時のみ。利用することができるのはコンベンション参加者と関係者に限られています
乗車時には、バッジなど展示会に参加していることを証明するものの提示が求められます。

ベガスループについて

ベガスループについて

イーロン・マスクが考案し、マスクが堀り、マスクが走る

シャトル用車両はすべてテスラ セントラルステーション 2023年1月6日

ベガスループはイーロン・マスク氏がかなり関わっています。

”地下トンネルを専用車が走る”という構想は、マスク氏がロサンゼルスの激しい交通渋滞を避け移動するために考えついたという。
トンネルをつくったのはマスク氏が創業したトンネル建設会社”The Boring Company”。
シャトルはマスク氏がCEOをつとめるテスラの車両を使用しています。

ラスベガスあるあるから利便性向上へ

トンネルのリング
トンネルの一部 ウエストステーション 2023年1月5日

広大な展示会場を持つLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)は、ホール間を移動する手段が徒歩しかありませんでした。

ホールからホールは近く見えても実際は遠い。。。というラスベガスあるあるを解消し、参加者が長距離を歩かなくてもよくなるよう、ボーリング社が提案する地下トンネルを通るシャトルサービスの開設を、ラスベガス観光局が2019年5月に承認。

LVCCに3つのホールを結ぶトンネル2本と3つのステーションを建設。トンネル全長2.7キロ、工費は5250万ドル。
2本のトンネルはどちらも車両専用のためシャトルは一方通行で走ります。

トンネル掘削機
トンネル掘削機 リビエラステーション 2023年1月7日

2019年11月工事開始。2021年1月の展示会”CES”でデビュー予定です。
2020年2月にはじめのトンネルが完成し、3か月後の5月には2番めのトンネルが完成。内装を整えあとは開業を待つばかり。。。

ところが世界を直撃した新型コロナウィルスはCESにも影響をおよぼし、2021年はオンライン開催に変更。デビューはおあずけに。
ループがようやくサービスをはじめたのは同年6月になってからです。

セントラルステーション
セントラルステーション 2023年1月5日

開通によりセントラルホールからウェストホールまで徒歩なら10分かかるところを、シャトルを利用し2分で行けるようになりました。真夏も炎天下の中を歩くことなくエアコンの効いたテスラでらくらく移動できます。

2022年6月にはループがはじめてLVCCの外に開通。大通りをはさんで向かいにあるリゾートワールドホテルに接続しました。

なお、建設前は”自動運転のシャトル”ということでしたが、いまのところドライバーが運転しています。自動運転へ移行する時期は発表されていません。

ループのスペック

運転席のパネル
運転席のパネル

ベガスループ建設決定時の報道では最高時速35マイル(56キロ)、1時間に4400人以上の輸送を目指すということでした。

2023年1月のCES(来場者数11万人以上)におけるボーリング社の調査結果によると、4日間の展示会期間中にループを利用した人は9万4000人。平均乗車時間は2分以下、平均待ち時間は10秒以下だったという。

調査と同じ期間にループに乗ってみた

ウエストステーション 2023年1月6日

乗車時間は確かに2分以下。
最高速度は一瞬時速30マイル(48キロ)を表示したくらい。それほど幅が広くないトンネルで30マイル近く出したらすごく速く感じそうですが、スピード感はありませんでした。

待ち時間については、コンベンション参加者が多いときは車両が次々と来るので待ち時間はほぼ無し。参加者が少なくなる期間終盤は待つことがありましたが、それでも5分もかからないくらい。
運行台数はコンベンションの規模により変わり、大規模なコンベンションにはそれなりの台数が投入されるそうです。

ガルウィングテスラ
みんな乗りたいガルウィング 2023年1月5日

使用車種はモデルX・3・Y。モデルYがいちばん多く、ガルウィング(ドアが上に開く)を採用したモデルXは少なめ。
自分の並んだスペースにどの車両が来るかは完全に運。乗れたらラッキー!

ベガスループに乗る

乗り方

STEP

乗り場に入ったところにいるスタッフ(写真の黄色の服)に行き先を告げ、並ぶ番号を案内してもらう。
スタッフがいないときはスペース案内ボードを見て、行き先の適当な番号に並ぶ。

セントラルステーション
セントラルステーション 2023年1月5日
STEP

基本的に他の人とシェアし1台に3~4人乗車。助手席も乗ることができます。
日本のタクシーのように自動ドアではないので、座ったらドアを閉め忘れないで。

セントラル
「ふたり乗れる」と言ってるスタッフ セントラルステーション 2023年1月5日
STEP

出発前にドライバーが行き先を確認します。乗車時間は約2分。エンジョイ!

STEP

降りるときにチップのことが気になりませんか?
展示会関係の仕事でループをよく利用する人によると、チップは基本いらないということ。たまに渡している人もいるそうです。

LVCC内ステーション

コンベンションセンターのループステーションはサウス、セントラル、ウエストの3か所。

ウエストホールの北玄関近くには、リゾートワールドホテルと結ぶリビエラステーションがあります。

ベガスループ地図
ベガスループマップ 2023年1月6日

ホール最寄りステーション

ホール間シャトルサービスは「LVCCループ」と呼ばれることも。
セントラルホール、ウエストホール、サウスホールの近くに乗り場がつくられています。これら3ステーション間の乗車料は無料。

セントラルホール/ノースホール
セントラルステーション
セントラルステーション 2023年1月5日

両ホール最寄りはセントラルステーション(Central Station 地図ピンク○)
セントラルホール前の歩道、ノースホールよりに位置。エスカレーターを下りた地下が乗り場。

ウエストホール
ウエストステーション
ウエストステーション 2023年1月6日

ウエストホール最寄りはホール西側に位置するウエストステーション(West Station 地図水色○)。地上駅。

サウスホール

いちばん近いのはホール東側にあるサウスステーション(South Station 地図白○)。こちらも地上駅。

リゾートワールドホテルから来た/行く

リビエラステーション
リビエラステーション 2023年1月7日

リゾートワールドホテルと結ぶループステーションはリビエラステーション(Riviera Station地図黄○)のみ。
場所はウェストホール北入り口近く。

リゾートワールドホテル線の乗車は有料です。チケットは乗り場にあるQRコードから購入可。詳細は下記参照
※リゾートワールド行きに乗るとき、チケットの提示を求められないこともあるもよう。

セントラルホール/サウスホールへ行く

リビエラステーションと最寄りのウエストステーション間はトンネルが完成していないようです。
セントラルホールやサウスホールへは徒歩でウエストステーションまで行き、ループを乗り換えて。

ウエストホール北入り口
ウエストホール北入り口 2023年1月7日

ウエストホール(写真)の外壁に沿って3~4分歩くと、ウエストステーションが右に見えます。

リゾートワールドステーション 

ラスベガスループ
リゾートワールドステーション

リゾートワールドステーション(Resorts World Station 地図赤○)は、リゾートワールドというホテル地下に位置します。

運行はコンベンション開催日のみ。利用できるのはコンベンション参加者と関係者に限られています。
今のところリゾートワールドからはリビエラステーションまでしか行けません(2023年2月時点)。LVCC各ホール乗り場と接続する計画はあります。

リゾートワールドの球体

ステーションへ行き方

STEP

ダイニング・ショッピングエリアにある大きな球体(写真)近くのエスカレーターから下へ。
大通り側玄関から入ると、カジノの方に少し進むと球体が見えます。

大きな球体
この球体が目印 リゾートワールド 2023年1月7日
STEP

エスカレーターで下がった正面がループ乗り場。

エスカレーターを下がる
エスカレーターで下へ リゾートワールド 2023年1月7日

乗車チケット

リゾートワールド線は有料です。

ループ乗り場
ステーションに入ったところ リゾートワールド 2023年1月7日
  • 乗車料金:1日乗り放題で4.5ドル(2023年1月時点)1回券はありません
  • 有効期限:購入した当日のみ
  • 購入場所:乗り場やエスカレーターのところにあるQRコードをスキャンして。オンラインで購入は lvloop.com/tickets から。
  • 支払い方法:カード、Apple Pay、Google Payが利用可
  • チケット受け取り方法:購入時に入力したメールアドレスまたは電話番号にチケットが送信されます。デジタルウォレットに入れることも。

乗車

乗車チケットを乗り場スタッフに提示し、案内された場所で待ちます。LVCCループと同じく基本的に1台を数人でシェア。

リゾートワールド線はトンネルが1本だけ。ホテルからLVCCに行く/来る双方向でその1本を使うため、トンネル内で出会わないよう信号でコントロールしています。信号が赤の時は数分待つことも。信号待ちがなければおよそ2分で到着します。

ベガスループ将来の計画

LVCC-ウィン/アンコールホテル2024年春開業

LVCCからウイン/アンコールホテルまでとLVCCからウェストゲートホテルまで掘っていたトンネルが、2023年7月上旬に貫通しました。

ウィン/アンコール線は2024年第1四半期(1月から3月)に開業予定。アンコールホテルのバレーパーキング付近にステーションを建設。LVCCセントラルホールまでの所要時間は1分だとか。

ウエストゲート線の開業予定は明らかになっていませんが、ウィン/アンコール線と大きく時期がずれることはなさそうです。

80以上のステーションを建設予定

ループ拡張計画によると、ダウンタウンから高速鉄道駅(サウスアウトレットの南に建設予定)までの全長およそ175キロメートルに81ステーションを建設。(2023年7月時点)
大通り沿いだけでなくオフストリップのホテルやアレジアントスタジアム、ネバダ大学、ハリーリード国際空港にも延伸します。

ループを使うとダウンタウンから空港まで所要時間8分、乗車料金は12ドルになるとか。
早く開通してほしいところですが、建設時期や開通時期についてはまったく発表されていません。

ラスベガスの地下中がループで結ばれるころには、初期段階での計画どおり自動運転の16人乗り小型バス的な車両が運行しているかもしれません。


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