さよならミラージュ 写真で振り返るミラージュホテルの思い出

ミラージュホテル

2024年7月17日にクローズした「ミラージュホテル」を写真で振り返ってみました。

閉館後ホテルを改装し、2027年春に「Hard Rock Hotel & Casino and Guitar Hotel Las Vegasハードロック・ホテル&カジノ・アンド・ギター・ホテル・ラスベガス)」としてオープンする予定です。

写真↑は2024年7月9日撮影

ミラージュホテル 1989年~2000年

1989年11月22日 ミラージュ オープン

「The Mirage(ザ・ミラージュ)」は1989年11月22日正午にオープン。

ポリネシアがテーマの高級ホテルは、後にトレジャーアイランド(1993年10月開業)やベラージオ(1998年10月開業)を手がけたスティーブ・ウィンが建設。
総工費は6億3000万ドル、客室を3000室以上有するストリップ地区初のメガリゾートでした。

館内は熱帯

熱帯魚が泳ぐ水槽
熱帯魚の泳ぐ水槽 2009年10月10日

館内はあちこちが熱帯の雰囲気。チェックインカウンター後ろの長さ15メートルの水槽では熱帯魚が泳ぎ、正面玄関とカジノをつなぐドーム型アトリウムでは熱帯雨林がゲストを迎えてくれます。

熱帯魚はどこへ?

閉館後、水槽にいた450匹の熱帯魚は”シャークリーフ”(マンダレイベイホテル)に移されるということです。

ドーム型アトリウム今むかし

ミラージュホテル
2008年5月14日

2024年7月9日

火山噴火ショー

ミラージュが当時の他のカジノホテルと最も違っていたところは、建物が大通り沿いに建っていないこと。

大通りとホテルとの間にラグーンをつくり、ラグーンの中に毎夜噴火する火山アトラクションを設置。
無料で観覧できる「Volcano Show(火山噴火ショー)」は人気のアトラクションとなりました。ホテルオープンから数年間は30分おきに噴火していたようです。

火山今むかし

ミラージュホテル
2009年5月14日
火山
2024年7月9日

雪山に変身

Paramount Expedition Vegas
2024年2月8日

2024年2月11日にラスベガスで開催された第58回スーパーボウルの関連イベントとして、パラマウントのコンテンツを体験できる「Paramount Expedition Vegas」を4日間開催。
この間、火山活動は一時休止。火山は雪が積もる”パラマウント山”に変身しました。

ミラージュートレジャーアイランド間トラム

1993年10月、ミラージュの隣にトレジャーアイランドが開業。2つのホテルは全長300メートルのトラムで結ばれました。

トラムのりば今むかし

トラム乗り場
2009年5月14日
トラム乗り場
2024年7月9日

トラムは継続へ

ハードロックとしてオープンした後もトラムの運行は続けるようです。

ジークフリート&ロイ

1990年2月 ジークフリート&ロイがオープン

1990年2月1日にオープンしたイリュージョンショー「Siegfried & Roy(ジークフリート&ロイ)」は大成功をおさめました。

ショーは制作費3000万ドル、キャストとクルー267人、1500人収容の劇場を使用。当時としてはありあないほど大規模なもので、ラスベガスのエンターテイメントに大きな影響を与えたと言われています。

ジークフリート&ロイ像今むかし

1993年10月に建てられたモニュメント。設置場所は大通り沿い、トレジャーアイランドホテルとの間の歩道。この歩道は”ジークフリート&ロイプラザ”と名付けられました。

ジークフリート&ロイ像
2008年2月23日
ジークフリート&ロイ像
2024年7月17日

像はネオンミュージアムへ

ホテル閉鎖後、像はネオンミュージアムに寄贈する予定です。

ホワイトタイガー展示室今むかし

ショーに出演していたホワイトタイガーは、ショーに出ていないときは南玄関(シーザーズパレスホテル側の入り口)付近の通路につくられた展示室ですごし、無料で見学できました。
展示室が閉鎖されたのは2007年11月のようです。

ホワイトタイガーの展示室があったところ
2009年10月10日

展示室は写真↑左側にありました。取り壊した後はレストラン”BLT”に変わり、2022年までに”Diablo’s”というレストランが入居。

ディアブロスレストラン
営業時間前のDiablo’s 2022年1月6日

Diablo’sではかつてホワイトタイガーが歩き回った場所でガイコツたちが談笑する姿が見られました。

ジークフリート&ロイズ・シークレットガーデン&ドルフィンハビタット

「Siegfried & Roy’s Secret Garden and Dolphin Habitat(シークレットガーデン&ドルフィンハビタット)」は希少動物の保護とイルカの研究を目的とした小型動物園・水族館。

シークレット・ガーデン&ドルフィン・ハビタット
シークレット・ガーデン&ドルフィン・ハビタット入園口 2028年6月13日
1990年10月 ドルフィンハビタット開業

先にオープンしたのはドルフィンハビタット。

ドルフィン・ハビタット
ドルフィン・ハビタット プール 2028年6月13日

バンドウイルカの知識を得ることと研究をするための施設で、入園すると施設とイルカについて説明を受けました。イルカショーはありません。

ドルフィンハビタット
ドルフィンハビタット 2008年6月13日

園内のプールに人工珊瑚礁や底に砂をひくなど海のようして、イルカの自然な環境を再現。

ライフサポート・システム
ライフサポート・システム 2008年6月13日

汚水をろ過しきれいな塩水にしてプールに戻すライフサポートシステム↑も見ることができました。1分間に15,000ガロン(1ガロンは3.8リットル)の水がこのシステムを循環していたそう。

1996年11月 シークレットガーデン オープン
シークレット・ガーデン
シークレット・ガーデン 2008年6月13日

ドルフィンハビタットに隣接する小型動物園シークレットガーデンは1996年11月オープン。

シークレット・ガーデン
シークレット・ガーデン 2008年6月13日

ホワイトタイガーやベンガルトラ、ライオン、ヒョウ、パンサーなどの主にネコ科の動物を飼育。ラクダ科のアルパカもいました。

ホワイトタイガー
木の上でくつろぐホワイトタイガー 2008年6月13日

ジークフリートとロイは長い間ホワイトタイガーなど希少動物を保護しており、保護プログラムの一環として赤ちゃんを受け入れていました。

赤ちゃんタイガー
赤ちゃんトラ 2008年6月13日

写真↑は2008年6月に生後6週間の赤ちゃんが公開されたときのもの。5頭(兄弟のもよう)はフロリダ生まれ。唯一のオスのゴールデンタイガーには、ロイがジゴロという意味の”Svengali”と名付けました。

ロイを噛んだトラもいた

イリュージョンショーでロイを噛んだMantecoreという名前のホワイトタイガーも公演打ち切り後はシークレットガーデンで飼育されていましたが、2014年3月に17歳で病死しました。

2000年3月 MGMグランド社に売却

スティーブ・ウィンが設立したミラージュ・リゾーツ社は2000年3月、MGMグランド社(現在のMGMリゾーツ・インターナショナル)に44億ドルで買収されることに合意。

これによりミラージュ、トレジャーアイランド、ベラージオを含むミラージュ社が所有していた8つのカジノホテルはMGM社の運営となりました。

2001年~2010年

2003年10月 ジークフリート&ロイ打ち切り

2003年10月3日、ステージ上でロイがホワイトタイガーに噛まれるというショッキングな事故が起き、ショーは打ち切りに。13年に渡る公演が幕を閉じました。

2006年6月 シルク・ドゥ・ソレイユ「LOVE」

シルク「LOVE」
LOVE 2021年11月10日

イリュージョンからシルク・ドゥ・ソレイユへ。

ビートルズの世界をシルク風に表現した「LOVE」が2006年6月にオープン。
ジークフリート&ロイの劇場を座席数2000の円形劇場に改装。改装費用は1億ドル以上といわれています。

LOVEシアター今むかし

LOVEシアター
2008年5月14日
LOVEシアター
LOVEクローズ後のシアター 2024年7月9日

ハードロックホテルはLOVEシアター跡に5000席の劇場をつくる予定だとか。

ビートルズのレリーフ今むかし

ビートルズのレリーフ
2008年5月14日
ビートルズのレリーフ
LOVEクローズ後のシアター 2024年7月16日

ギフトショップ今むかし

サイン入りベース
4人のサイン入りベースを展示 2008年5月14日
ギフトショップ
2021年11月10日

火山噴火ショーをリニューアル&火山を飛び越えるスタント

2008年 火山噴火ショーをリニューアル

火山改装中
改装工事中の火山 2008年2月23日

噴火ショーはオープンからおよそ20年後にリニューアルされました。
火山を2008年2月から10か月間、2500万ドルをかけ改装。2008年12月8日、新しい火山噴火ショーがオープンしました。

火山噴火ショー改装
噴火ショー再開のお知らせ 2008年4月13日

製作はベラージオの噴水ショーを手がけたウェットデザイン社。
ラグーンに浮かぶ120ヵ所の噴出し口では火の玉が踊り、ポリネシアン風音楽にあわせ火山が目覚め、やがて炎に包まれていく…

火山噴火ショー
2008年12月19日

火山噴火ショー今むかし

2008年2月までのショー
ホテル閉館前日11pmからのショー 2024年7月16日

2008年12月 火山を飛び越える年越しスタント

ミラージュホテル前
スタントを見る人々で大混雑  2008年12月31日

新しくなったばかりの”火山の上をオートバイで飛び越える”というスタントが2008年の大晦日夜におこなわれました。飛ぶのは有名スタントマン、ロビー・クニーヴェル。

火山を飛び越えるスタント
厳戒態勢 2008年12月31日

開始予定時間よりかなり長く待たされ、ようやくはじまったスタントショー

年越しジャンプのTV放送

”火山の上を飛ぶ”と言っていたのに、実際飛んだのは火山前の歩道。
クニーヴェルも中継の人も大成功をアピールしてますが、ホテル前につめかけた観客は大大大大ブーイング!

2009年 ミラージュ20周年

ミラージュ20周年
ミラージュ20周年 2009年10月10日

2009年、ホテルオープンから20年を祝うディスプレイがロビーに登場。

2011年~2020年

アースアワーに参加

アースアワー中のミラージュ
アースアワー中のミラージュ 2015年3月28日

WWFが主催する地球温暖化に立ち向かう意思表明として電気を切る世界規模のイベント「アースアワー」。ラスベガスは2009年からイベントに参加しています。

写真↑はアースアワーのため屋外の照明を消したホテルと噴火ショーを待つ人々。

2020年 コロナ禍のミラージュ

ロックダウン

ロックダウンしたミラージュ
2020年3月17日
入口を封鎖
入り口をを封鎖 2020年3月17日

世界中で猛威をふるった新型コロナ。新型コロナウィルス感染拡大を受けラスベガスのほとんどのホテルは2020年3月17日から当面の間、休業することを決めました。
ミラージュも同日にドアを閉鎖。

カモも休憩
2020年5月18日

人がいなくなり閑散とした大通りは鳥たちにとってパラダイス。ミラージュの水辺をカモたちが優雅に泳ぐ。

ロックダウン中のミラージュ
2020年6月4日

6月4日、ストリップ地区の多くのホテルが再オープン。しかしミラージュはドアを開けないまま

ホテル再オープン

ようやく再オープンしたのは2020年8月27日こと。

ジークフリート&ロイドライブ
2020年8月29日

再オープンに際し、デュオの活躍に敬意を払うため、大通りからホテル正面玄関に至る道路の名称を「ジークフリート&ロイドライブ」変更しました。

LOVE再オープン

ホテルが再開しても劇場は人数規制などが厳しく、すぐにショーをおこなうことはできませんでした。
「LOVE」は2021年8月26日に再オープン。動画↑は26日におこなわれた再オープンを祝うパフォーマンス。

ロイさん、ジークフリートさんが相次ぎ死去

ジークフリート&ロイ像
ロイ・ホーンさんの死を悼む 2020年5月10日

ロイ・ホーンさんは2020年5月8日、新型コロナウィルス感染による合併症のためラスベガスの病院で亡くなりました。75歳でした。

ジークフリード・フィッシュバッカーさんは2021年1月14日、膵臓がんのためラスベガスの自宅で死亡しました。享年81歳。

ふたりはショーが終了したあともラスベガスに住み続け、たびたび元気な姿を見せていました。
2020年8月27日におこなわれたホテル前の道路名変更セレモニーにはジークフリードさんが出席。これが公に姿を見せた最後となりました。

2021年~2024年

2021年12月 ハードロックに売却

2021年12月13日、MGMリゾーツ・インターナショナルはミラージュの運営をハードロック・インターナショナルに10億7500万ドルで売却すると発表。
ミラージュの名称とブランドはMGMが保持。ハードロックがブランド再構築の計画を決定するあいだの最長3年間、無料で使用できるライセンスを供与しました。

また、火山を壊し、大通り側にギター型のホテル棟を建設する計画があきらかに。

※ハードロック・インターナショナルはセミノール族(フロリダ州)というアメリカ先住民が所有するカジノ運営会社。
”トライバルカジノ”と呼ばれる先住民のカジノがラスベガスに進出するのは、バージンホテル、パームスホテルに次ぎ3社め。ストリップ地区では初めて。

2022年11月 シークレットガーデン&ドルフィンハビタット閉園

シークレット・ガーデン&ドルフィン・ハビタット
ロビーの近くにあったシークレット・ガーデンの看板 2021年1月14日

ドルフィンハビタットでは2022年4月に1頭のイルカが、同年9月に2頭のイルカが死亡したことを受け9月下旬から一時的に休園。
2022年11月22日、再オープンすることなく水族館、動物園ともに閉園が決まりました。

イルカと動物は新しいに引っ越し

クローズ時に園内にいたイルカ6頭と動物は新しい施設に移っていきました。

2023年2月、ドルフィンハビタット開園時にシーワールド(サンディエゴ)から貸し出された5頭のうち生存している3頭は、貸し出し時の契約に従いシーワールドに返却。
残っていた3頭は2023年5月、カリブ海に浮かぶ米領ヴァージン諸島の”Coral World Ocean Park”に移動しました。

2023年7月にはシークレットガーデンにいた大型ネコ科の動物およそ10頭が、オレゴン州の”WildCat Ridge Sanctuary”と、テキサス州にある”In-Sync Exotics”という2つの保護区に移ったということです。

2022年12月 運営がハードロックに

MGMがミラージュの売却を完了し、2022年12月19日午前6時に運営がハードロックに移行。

運営がハードロックになっても変わったのはカジノのリワードプログラムくらい。大きな変更はみられませんでした。
この時点では、ホテル改装中も休館はしないということでしたが…

2023年11月 F1ラスベガスGP

F1観覧スタンドを設置
観覧スタンド設置工事 2023年9月29日

2023年11月16日から3日間に渡り開催された「Formula 1 Las Vegas Grand Prix(F1ラスベガスグランプリ)」。ホテル前の大通りがレーストラックとなるためラグーンに観覧スタンドを設置。
”ミラージュ”の名称でおこなわれた最初で最後のF1となりました。

ミラージュ前
ミラージュ前 2023年10月14日

スタンド設置工事がはじまった9月から12月中旬に撤去されるまでの3か月間、火山は活動を休止。

F1ラスベガスグランプリ
ホテル玄関前 2023年11月16日

ホテルはレッドブルチームをホスト。

F1グランプリ
ホテル前のレーストラック 2023年11月17日

2024年 ミラージュ閉館へ

2024年5月15日 ミラージュ閉館を発表

ハードロック・インターナショナルは2024年5月15日、同年7月17日をもってホテルを閉鎖し、全面的にホテルを改装すると発表。LOVEはホテル閉鎖より一足時早く、7月7日に終了することがあきらかになりました。

2024年7月16日 ミラージュ閉館前日

閉館前日の16日夜、ミラージュに別れを告げたい人々でホテルは混雑。

ホテルフロントデスク前
フロントデスク前 2024年7月16日午後9時25分

宿泊客は15日までにチェックアウトしているため、すでにフロントデスクは閉鎖。熱帯魚の水槽は9日までにカーテンで覆われました。

↑午後9時30分ごろのカジノフロア。スロットもテーブルゲームも稼働している方が少ない。

ラスベガスレビュージャーナル紙によると、午前1時には最後のテーブルゲームとなったクラップスが終了。午前1時半ごろにはスロットマシンからキャッシュアウトするように促され、午前2時15分までにカジノフロアから人が消えたそうです。

噴火ショー待機中
噴火ショー待機中 2024年7月16日午後9時45分

この日の火山噴火ショーは定期の午後8時、午後9時、午後10時、午後11時に加え午後10時30分と午後11時30分にもサプライズ噴火。午後11時30分が最終回となりました。

2024年7月17日午前11時 クローズ

2024年7月17日

ミラージュは2024年7月17日午前11時にクローズしました。

ミラージュ
別れを告げるサイン 2024年7月17日

↑トレジャーアイランド側に設置されたサイン。15日午前中には別れを告げるものに変わり、ミラージュのロゴも取り外されました。